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2025.2.20
CASE:72 黒を孕む 石黒 幹朗

CASE:72
黒を孕む
石黒 幹朗
- 開催 : CIBONE CASE(銀座)
作家在廊:3月1日(土)
目が合う。
彼の作品との出会いは、そんな感覚に近いかもしれません。
普段は周りの景色に溶け込んでいながらも、ふと意識を向けた瞬間に目が離せなくなる静かな存在感。
鹿の肉体を離れ、石の骨格を拾い、野生の面影を宿したまま、人の手によって再び「皮膚」へと生まれなおす。
京丹波に暮らしの拠点を移してから10年、圧倒的な自然から受ける今も薄れることのない新鮮な日々は、創作の源として、とても純粋なまま、作品へと昇華されます。自然がつくり上げてきたものに、人間の感性が呼応することで、無二の美しさを纏うその姿は、どこか、見る者の意識を研ぎ澄ますような、言語化できない何かを含み持っているように感じます。
本展示では、鹿皮を黒く染めた作品を主題としました。
環境から受けるものが人の感性と結びつくように、石黒さんの作品は、空間と作品の間に流れる関係性にも重きを置きます。
一見すると素材の表情を覆い隠してしまうようにも思われる「黒」ですが、実際に手に取ってみると、石の輪郭や肌理の状態、残った鹿毛を、際立って見ることができます。
今回用意された白い展示空間の中にそれらが並ぶことによって、より深く、それらが自然から来たものであるということに意識が引き込まれるでしょう。
CIBONEでは初となる石黒幹朗さんの個展、ぜひこの機会に、作品が内包する生命力に触れてみてください。




- 石黒 幹朗
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兵庫県西宮市出身。
2015年に京丹波町へ移住し、妻である石黒由枝と共にレザーブランドlogseeとしての活動を経て、現在は鹿皮や石、落ち葉等の素材を使い、自然と人工物の曖昧な境界を日々探求しながら創作活動を行っている。
LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025 ファイナリストに選出。
> PRESS お問い合わせ (株式会社ウェルカム CIBONE広報担当)